2021/05/29 23:18
木を使って何かを作るとき、重要になるのは木材を活かすことに他ならない。
設計図や材料の拾い出し(数を数える)ももちろん大事であるが、使う材料のクセを見極め活かす事ができるかどうかモノを作る上でかなりの重要度を占めると言えます。今回のカスケードジャーナルではウッドワークにおける木材の見方について紹介したいと思います。
"木材を選ぶ" ということ
May.30.2021 by Shunya Matsuzawa
▲木材の種類
まず木材には針葉樹と広葉樹があります。
針葉樹は比較的寒い地域に分布し、幹が真っ直ぐで枝分かれが少ない。軽量で柔らかく、一般的に建築資材として多く使われます。
対して広葉樹は温暖な地域に多く分布し、針葉樹が540種に対し広葉樹は20万種と圧倒的に種類が豊富で、材質は硬く重いものが多く一般的に家具やフロア材などに使われます。ホームセンターなどに売られている木材は、多くが針葉樹です。
▲木材の規格
ホームセンターでよく見かける2x4(ツーバイフォー)や1x4(ワンバイフォー)などは海外規格であり、厚みと幅がインチ表記となっています。
主にホワイトウッド、SPF材(Spruce:トウヒ/Pine:松/Fir/もみの木)として売られており、ホワイトウッドとSPFの違いはヨーロッパ産か、カナダ、アメリカ産であるかの違いであって国内規格のものより柔らかく加工しやすいのでDIYに向いています。
海外規格に対して日本は中国が起源と言われる尺貫法で木材が切り出されていましたが、現在ではミリ表記となっています。
(尺寸分厘、1尺が303mm、1寸30mm、1分3mm、1厘0.3mm)
日本の建築は主に尺貫法を用いて造られていて、欧米の作り方と異なります。地震が多く高温多湿な日本の気候にあった造り方となっているのです。
▲木材のクセを見分ける
一つ一つの木にはクセがあり1本として同じ育ち方はしません。長いモノを買うときは特に湾曲を見分けることが大切です。木材の端から覗き、どう湾曲しているのか必ず確かめて買うことをお勧めします。このことを大工用語で「通りを見る」「睨む」と言います。
(この画像のものは左へとカーブしている)
次に、節が少なくヒビや欠けの少ないモノを選ぶ。
節とはまさに木の枝分かれをしている箇所であり節を起点に湾曲することが多いことと、釘やビスを打ち込んだ時に割れやすい。
節には「死に節」と「生き節」があり、死に節は枯れた枝で周りの木の組織と乖離してしいるため、後々抜け落ちてしまいます。
生き節はまだ使えるものではありますが、なるべく節の少ないものを選ぶに越したことはありません。
(生き節)
(死に節:周りの組織とは別れている)
最後にヤニの多いものを極力避ける。形となった後にでもヤニが出てくる可能性が高く、周囲に付着するだけでなく塗装の乗り方にも大きく影響してしまいます。
(ヤニや蜜が多めの木:乾燥しきっている木よりも重みがあり切断時に粘りがある)
ただ、必ずしも良い材料と出会えるわけでもありません。反りのある木、節のある木であっても節を避け、短い場所に使うことで有効に活用できます。決してクセのある木材は使えないと言うわけではなく木材を活かせるかどうかが大事になってきます。
現在、コロナウィルスによってリモートワークが世界中で普及し、アメリカでは近年の住宅ローンの低金利も相まって、昨年から郊外への建設需要が大幅に増加しております。その影響もあり、日本では木材が枯渇し価格の高騰に歯止めが効かない状況下にあります。
日本の木材自給率は約3割程度と多くが輸入に頼っており、このことも少なからず日本の木材枯渇に影響していると言われています。
木材を活かすことが木材を有効的に使う手段となり、より良いものを作ることに繋がる。 さらに資源を大切にするということにも繋がっていくのかも知れません。私たちは、少しでも多くの人が楽しく木に触れる機会が増えることを願っています。
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