2021/01/30 00:22



人口の約80%が車を持つとされるアメリカ。北西部に位置する都市シアトルでも、朝夕通勤ラッシュが繰り返され、人々はラジオの交通情報に耳を傾けながらその流れに身を任す。


そんなシアトルであるが、実は公共交通機関も整備されており、バスや鉄道を利用すれば大概の場所にはアクセスできる。さらに、自転車専用レーンも整備されており、バスに自転車を載せるシステムなども充実している。シアトルの前市長が自転車愛好家なのは有名な話で、バイク・フレンドリーな都市ランキングでは全米1位になったことも。実は車を持たない人にも優しく、自転車思いの街なのである。




雨の街シアトルで自転車を選ぶ理由

Jan. 30 2021 By Taichi Ohsaki


私に自転車を買わせた(買わせてくれた)要因は、ずばり通勤時間の長さである。当時通っていた大学から最寄りのバス停までは約1時間。それに対し自転車だと約30〜40分。およそ半分の時間で帰れるのだ。行きは坂が多いためバスに自転車を乗せ登校し、帰り道だけ自転車に乗るとしても、週5日×30分で週に150分、月6時間の節約になる。おまけに帰り道には湖の前を通るため、贅沢な空気も味わうことができ、授業と課題で凝り固まった体もほぐすことができる。


私は自転車を買うことに決めた。



バスの場合





<自転車の場合>




Google Mapでは自転車の平均速度は15km/h~20km/hに設定されているので、アメリカで一般的なロードバイクであれば表示されている時間より早く着く。



購入方法


そんなこんなで自転車の購入を決意した訳だが、どこで買えばいいのだろうか?と頭を抱えた。初めて訪れる異国の地でまだ右も左も分からず、金銭的にも新品を買うような余裕もない。そこで利用したのは Craigslist というコミュニティサイト。簡単に説明すると、地域ごとに個人間で売買ができるウェブサイトであり、日本だと「ジモティー」に近いものである。渡米してすぐから付き合いがあり、すでに自転車で通学していた現 Cascade Suppyのマーケティングディレクター、内山から教えてもらったものだ。


早速サイトにアクセスし、住んでいた地域付近で自転車(ロードバイク)を売ろうとしている人を検索。シアトルは自転車保有者が多く、狭い範囲でもかなりの件数がヒットする。条件に見合うものを探してゆき、最終的に見つけたのがこの1台。値段も手頃であり、当時通っていた大学がある街は坂が多かったので、ギア変速が可能なものとした。



欲しい自転車が決まれば次に行うことはオーナーへの連絡。購入したいという意志を伝え、試乗のスケジュールを調整する。


試乗日、目当ての自転車のペダルに足をかけてみる。ロードバイクには乗ったことのなかった私ではあるが、オーナーは乗り方から何もかも教えてくれた。最終的に状態が良く条件に見合ったこの1台を購入することで合意。クラシックなフォルムにWレバーを持つ日本製のバイクは、私のものとなった。


オーナーは日系アメリカ人ということもあり、日本の話題で盛り上がる。大学の授業だけでなく、こういった場面で英語を使うことが、案外上達への近道かもしれない。



通勤・通学・休暇での使用


購入してからというもの、通学のみならず、ボランティア活動や休暇での使用で、自転車は生活には欠かせないアイテムに。


休暇には、お気に入りの本と栄養価の高いピスタチオをバッグに詰め込み、ディスカバリーパークの灯台へ。走行中、偶然目に入ったレコード屋に立ち寄り、サンセットの時間を気にしながらレコードを漁る。自由気ままに移動できるのが、自転車のいいところでもある。



こうして日常的に自転車に乗ることで、シアトルという街が、いかに自転車乗りに優しいか感じるようになる。ここで特に思いやりを感じた2点を紹介したいと思う。



①自転車専用レーン


シアトルでは至る所に自転車専用レーンが整備されている。というのも、アメリカではいわゆるママチャリは手に入らず、基本的にロードバイクの利用が一般的。なので、歩道を走行するのは危険であり、自転車専用レーンが多く設けられている。もちろん、車との接触の可能性もあるので、十分気をつけなくてはならない。




②電車・バスに備え付けのBike Rack


シアトルでは通勤に自転車を利用するユーザが多く、公共交通機関と自転車を併用することも珍しくない。電車には車両内に、バスには先頭にBike Rack(自転車ラック)が備え付けられている。これは私のように坂の多い地域に住む人には役立つものであるし、突然の雨にも心強い。真のドア・トゥ・ドアを目指す者への熱いサポートだ。




バイクコミュニティ


自転車での生活にも慣れてきたら、地域のバイクコミュニティにも参加するのもいいかもしれない。シアトルには、Seattle Bicycle ClubやCascade Bicycle Clubなど、自転車愛好家達が集うコミュニティが存在し、定期的なツーリングイベントが行われ、メンバー同士での交流も盛んだ。現地でのコミュニティを探している留学生にももってこいだ。


Seattle Bicycle Club:

http://www.seattlebicycleclub.org/


Cascade Bicycle Club:

https://cascade.org/


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現地で自転車を購入して感じたことは、自転車に乗ることで「自然や街に溶け合える」ということ。これまで以上に自然や街、人との距離が近くなり、今まで見えなかった物やコトが見えくる。そして何より気持ちが良いこと。シアトルという港街の塩風を肌で感じながら自由に移動する感覚は、自転車ならではないだろうか。



1週間ぶりに快晴となったシアトルでテンションは最高潮に。ルートチェックはOK! 出発する前に記念撮影をするCascade Supply 内山と大崎。



シアトルで自転車の購入を考えている方は、一度下記のサイトをご覧いただくことをおすすめします。シアトルで自転車に乗るための基本が詳しく書かれています。


シアトル市内・近郊で自転車に乗るための基本:

https://www.junglecity.com/live/life-automobile/cycling-basic/https://www.junglecity.com/live/life-automobile/cycling-basic/


また、私たちCascade Supplyは、シアトルのバイクレーンのサインをプリントしたスウェットパーカー、【BIKES ONLY HOODIE】を販売しています。そちらも是非チェックしてみてください!