2020/06/10 15:31
Photo by NOAA
2018年3月、ワシントン州オリンピック国立公園 Shi Shi Beachのトレイルで、獲物を見下ろす白頭鷲が飛び立つ瞬間をシャッターに収めるため、照り付ける西日に向かって、カメラ機材とテント、寝袋をかついでバックパッキングしていた時のこと。巨大な流木の上にハゲワシとカモメが集っているのを見かけた。ハゲワシがいる時は、たいてい嫌な光景を予測するが、案の定この時も予想は的中した。その巨大な流木は、まだ漂着して間もないであろう傷だらけの子クジラの死体であった。私はその時初めて、Pacific Northwestにクジラが棲息することをこの目で確認した。だがそれは、想像していた生き生きと優雅に泳ぐ姿ではなかった。
アメリカ北西部に暮らすシャチたちから学ぶ
2020/6/10 | 内山 太一
アメリカ、ワシントン州には、1700年代までマカ族やピュアラップ族、スコーミッシュ族など約50もの部族が定住していたといわれます。
多くのネイティブアメリカンにとって哺乳類動物はヒトと同じ「一族」を持つかけがえのないものとして扱われ、特に海洋資源を食料源とする北アメリカ北西沿岸のネイティブアメリカンにとって、大海原に群れをなし優雅に泳ぐオルカ(シャチ)は、古くより”Lord Of the Ocean” 海の神とされてきました。
部族によってオルカの信仰は異なり、他の哺乳類を襲うことで、死体が陸に漂着し、それが先住民の食料となり、道具となる。その強大な力は”パワー”を象徴し、生涯を血の繋がった家族のみで構成された群れで過ごすことから”家族”を、そして海洋生物の食物連鎖、頂点に立つことから ”リーダシップ” などを象徴します。
アメリカ北西部のネイティブアメリカンにとってオルカは、常にライフスタイル、そしてカルチャーの一部として長らく共存してきたのです。
シャチには大きく分けて3つのタイプがあります。
Image by Sea Watch Foundation
トランジェント(回遊型)
小さな群れ、または1頭のみで生活し行動区域を持たず、海に住む哺乳類動物のみを食料源とする。
レジデント(定住型)
サーモンなどの魚類を食料源とし特定の海域に定住、十数頭の家族群を形成する。
オフショア(沖合型)
生態の謎が一番多いこのタイプは沖合に棲息し、30〜60頭のグループを形成。
体の傷や歯をすり減らしていることからサメなどを食すると言われている。
現在、ワシントン州 Puget Sound “ピュージェット湾”には、定住型のサザンレジデントオルカが棲息しており、J 、K、L と呼ばれる3つのポッド(個体群)で構成されています。
近年では、空腹などの理由で減少傾向にあり、その数はわずか80頭未満と絶滅危惧種に指定されています。
Image by Global News
サザンレジデントオルカ減少の大きな理由の一つとして、彼らが主食とするサケの死滅が原因と言われており、特にこの地域に生息するチヌークサーモンとスティールヘッドは、キャッチアンドリリースの規制がかかるほど減少しています。
またそのサーモンの減少理由については、
ダムや水力発電、サーモン孵化場による野生魚の衰退など諸説あります。
#SAVE THE JKL POD ORCAS
オルカやサーモンの減少に人間が直接的に関係があるかどうかは、不確かですが、私たちが今できる最善のこととして、人間よりはるかに繊細な動植物たちの棲息地に出来る限り人間のフットプリントを残さないこと。
そして残さないためには彼らの生態系について学び、
共存するための意識を高めることが重要だと考えています。
私たちが普段、当たり前に感じている
"帰る場所のある幸せ" や "家族の大切さ" 。
それは、人間と同じ哺乳類であるJ、K、Lのオルカたちにとっても同様です。
当たり前を大切にすることを彼らから学び、そしてまた、その当たり前をオルカたちは失いかけているということを知ることが彼らの将来、そして彼らの家である大海原を守るきっかけに繋がると私たちは信じています。
カスケードサプライでは、"ORCA SPIRIT T-SHIRT"の売上の一部をワシントン州非営利団体"ORCA CONSERVANCY"に寄付をし、Puget Soundに棲息するオルカたちが直面する問題の認識や知識の向上、そしてリカバリー促進を支援します。
※寄付に関する情報などはインスタグラムで紹介していきます。またPNWに生息するオルカ達の最新情報などに関しては、Journalより随時発信していきます。
もし、サザンレジデントオルカに関するストーリーや情報などを持っている方がいれば、ぜひ私たちとシェアしてください。